Short Story 2

□つ・な・が・れ
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「う〜ん」

チクタク、チクタク動く針。
細い針が頂点を駆け足で過ぎていって、太い針との何度目かの出会いを迎えていた。
『三本の針が重なるまであと10回だよ』
細い針がその体を震わせながら教えている。

さっきから何回目かのため息。持った受話器を元に戻す。
ガチャ
冷たい音が、しんとした廊かに響く。
リビングから聞こえる高らかな声があと少しで始まる、新しい年への喜びを伝えてくれていた。

小狼くんが香港に帰ってから、数日、今年も離れての年越し。
去年はメールを送った、今年ももう送ってしまった。
年越しの時間は、すごくメールとか混雑して届きにくくなるって言うから、それに電話も…。
でも、お家の電話ならつながるのかな?
そう思って電話の前に立ったのは小狼くんにメールを送ったすぐあとだった。
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