Short Story 2

□こちらをどうぞ
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「こちらをどうぞ」

夕暮れの商店街の中を歩いていると、にこやかな笑顔と一緒に長細いものを渡された。
カサッ
という音の中にある手ごたえはちょっと硬くて、驚きながら手の中にあるそれを眺めてみた。
『Pocky』
と黒文字で書かれた袋をまじまじと見つめて、小狼は隣に立つ少女を見つめた。

「いいなぁ」

小さくつぶやきながら、冷たい風にさらされて、ほんの少し上気させたほほを膨らませると、さくらは上目遣いに不思議そうな顔をしている小狼を見つめた。

「これは、どうしたらいいんだ?」

道を歩いていただけで渡されたポッキーの袋に途方にくれながら、手の中にある包みをわけもなく裏返したりしてみた。
銀色のアルミに包まれたポッキーはカサカサという音を立てながら、小狼の手の中を踊るようにクルクルと回る。
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