Short Story 1
□瞬く間に
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何が起こったんだ
自分の手を見つめながら自問自答をする。
見慣れない、小さな手は確かに自分のもので、その手に繋がっている腕を覆い隠
すようにある服は数時間前に着た自分のTシャツ。
そして、自分を包むような気配はよく知ったもの。
春の暖かな日差しに誘われて、ソファーに二人で寝転び微睡みに誘われたのはほんのわずかな時間
「小狼くんの子供の頃の写真みたいな」
ニコニコしながらさくらが言っていて、日本にアルバムを持って来ていないと告げるとそうなんだと残念そうに笑った。
そんな数時間前のやり取りが蘇ってくる。
「小狼くん?」
何度も目を擦り、自分の前にいるのが誰かを確かめ今目の前にいるのが、俺だと解るとさくらはさっき俺が言ったのと同じ言葉を呟いた。
「なんで?」