Short Story 1

□ふたり一緒
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ぐんぐんと上昇する気温。
夏の光は徐々に角度を変えて頭上近くに差し掛かる。
そんな時間になると、小狼の部屋には決まってチャイムの音が鳴り響いた。

「今日も暑いよ」

そういいながら制服の衿元をパタパタと動かして、さくらは小狼の玄関の扉をくぐる。

「お疲れ様」

部活を終えてその足で遊びに来るさくらを出迎えながら小狼は、一定の気温人保たれた室内へとさくらを誘う。

「ああ、涼しい」

快適な温度に保たれて室内に入ると、その空気を制服の中に取り込むように入ってきたのと同じ動作を繰り返す。
座りなれたソファーに腰を下ろして、体にまとわりつく汗が引くのを待った。
小狼はその様子を見ながら、体温を体の内側から冷ますように、冷たい飲み物を用意する。
からからと氷の音をたたえたグラスをさくらの目の前のテーブルに置くと、自分もさくらの隣りに腰を下ろす。

「毎日大変だな」
「うん、でも今週で練習終わりだし、そうしたら本当の夏休み」
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