Short Story 1

□秋〜甘いもの
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「ほぇ〜。どれもおいしそう」

ライトに照らされた色とりどりのケーキたち。きらきらと輝いていて、口にするのがもったいないほど。
友枝商店街の中に最近できたケーキ屋さん。
『一度食べたら、もう一度食べたくなるようなとってもおいしいケーキ』
という評判がつくほどのお店。
その情報を千春から入手したさくらは小狼を誘ってきていた。
ケースの中に所狭しと並べられたケーキたち、開店したばかりの店内には甘い香りが立ちこめている。
その香りだけでも、朝食からしばらく経っているお腹は、膨らんでしまう気がする。
さくらはそう思いながらも、視線はケーキたちを追い続けていた。

「で、どれにする?」
「うんとね、えっとね・・・。」

中腰の姿勢のままガラスケースに顔を付けてしまいそうなさくらに小狼が声をかける。
店内には同じように釘付けのお客が数人いたが、その誰よりも真剣な表情のさくらがそこにいた。
その様子を見守っていた定員からも、小狼と同じような問いかけが投げかけられた。
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