Short Story 1
□おまじない
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「寝る前時に、パジャマを後ろ前に着ると、好きな人と同じ夢が見られるんだって。」
暗くなった帰り道、隣にいる「好きな人」に今日教室で話題になった『おまじない』について楽しそうにさくらは話していた。
「さくら、おまじないはするなよ」
「ほえ?」
右の手から伝わる暖かさ、そのつながれた手が一瞬強く握られる。
「どうして?」
「どうしてって、おまえ自分に魔力があること忘れているだろ」
強大な魔力の持ち主であるのにもかかわらず、日常生活で使うことのない力は、その存在をよく忘れられる。
「お前が占いすると当たるだろ?それとおんなじで、『おまじない』にも魔力が込められて普通じゃない効果が得られるからな」
「えーーー。」
「えー、じゃない。いいか、するなよ」
そんな話で締めくくられ、さくらは自分の家の前に着いた。
「いいか、するなよ」
再度念押しをして、暗い夜道さくらを自宅まで送り届ける、と言う大役を果たした小狼は帰っていった。
−するなっていわれてもね・・・。
それから数時間後、さくらはパジャマを後ろ前に着て少し冷たい布団に潜り込んだ。