Short Story 1

□花咲く頃
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キーンコン・・・

授業の終了の鐘と共に小狼は大きなため息をついた。
−やっと終わった。
朝から続く頭痛と関節痛。完全なる体調不良、風邪を引いてしまったらしい。
こういうときは何もせず早く帰って寝ることが一番だろう。

再び大きなため息と共にのろのろと机の中の教科書を出し、カバンに納める。
確か冷蔵庫にはしょうががあったはず、牛乳はあいにく切れていたから、生姜湯でもして呑むことにしよう。
これからの行動をあまり考えのまとまらない頭で決めて、いざ帰ろうと席を離れるといつもながら細い目をした山崎が声をかけてきた。

「李くん、今日時間あるかな、予餞会の相談に乗ってもらいたいんだけれど」
「あ、ああ」

先月行われた生徒会選挙において他の候補者に圧勝し、生徒会長に選ばれた山崎はもうすぐ行われる、卒業式と予餞会の準備に追われていた、何かというと
『李くん、時間あるでしょ』
と部活もしていない俺を巻き込む彼らしく、今回も知らないうちに巻き込まれていた。
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