Short Story 1
□瞬く間に
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自覚のない魔法の行使、多分タイムのカードで俺の時間だけを遡らせた。
さくらが俺の子供の頃が見たいと強く願ったから、流れ出した想いと魔力がカードに力を与えたのだろう。
「小狼くん、ごめんなさい。どうしよう、すぐに元に戻すから」
封印を解いて、現れた杖に魔力を込めて、ガードに俺を戻すように呪文を唱えるが、一向に戻る気配がない。
「どうして?」
ほとんど涙目になりながら、俺のいるソファーの脇にへたりこむ。
杖をジッと、見つめるさくらの頭に手を置くと、いつもなら自分の手に隠れてしまう髪がサラサラと指の間を流れ落ちた。
「多分、先に使った魔力で消耗して使えないんだ、タイムは魔力を沢山必要とするし、しょうがない。しばらくしたら元に戻るよ」
3歳ぐらいなのだろうか、甲高い声と、まわらない舌。あまり話をすると、舌をかみそうだ。
「う、うん。でも」
目をくるくると回しながら少し高い位置にいる俺をさくらは見上げるように、ジッと顔を見つめてきた。
「小狼くん、かわいいよね」
思いもしない言葉