Short Story 1

□恋の味
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恋の味ってどんな味??

甘いの? 

苦いの?

あなたの恋の味は・・・。


ーーーーーーーーーー
この二日ほど続いた低い気温のせいで、木々の葉の色が赤く変わっていた。

冬がすぐそこまでやってきている。

「小狼くん。ここの問題あってる?」

難解な数学の問題をやっとのことで解いて、すぐ後ろのソファーの上で本に夢中の想い人に声をかけた。
小狼くんは読みかけの本を閉じると、テーブルの上のノートを手にとって答えの確認をしてくれる。
(んー、なんか先生に採点されてるみたい)

「合格」

大きな手で頭をくしゃくしゃとされ、なんだか子供になったみたい。

「あと一問。がんばれ」

ノートを元の場所に戻して、また本を開く。
今日の数学の宿題はあと一問。
放課後、小狼くんの部屋に来て宿題をすることが日課。
国語は小狼くんも少し苦手なので一緒に考えたりできるけど、数学は私の先生。

「疲れたよー」

ノートの上にうつぶせる形で恨み言を言ってみた。小狼くんは好きなことやってるのに、私は宿題なんてずるい。

「終ったら、お茶にするから。」

視線は本に向けたまま。

そんなこと、わかってるよ。そうだ。

制服のポケットを探ってみる。確か今日学校でもらったものがあるはず・・・。

小さな白と、ピンク色の包みを取り出してちょっと眺めてみた。

ー 恋のミルク  とろける贅沢な恋のミルク
ー 恋のいちご  甘酸っぱい恋のいちご

包みの中は飴。
学校でお友達からもらったものだ。書いてあるフレーズがいいでしょ。って渡してくれた。

苺味の包みを開けて口の中に入れる。
甘い苺の味がふわっと広がった。

「小狼くん。あめ食べる?」
「あ、ああ」
「はい、あーん」

ミルク味の封を開け、中のものを摘み上げて後ろにいる小狼くんの口にそっと入れた。

「恋のミルク味なんだって」
「へー」
「私のは恋のいちご味」

空っぽになった包みをテーブルの上に並べてみた。
口ので飴を転がしながら、甘さを楽しむ。
ちょっとだけ元気が出て、最後の一問に向かう元気が出てきた。

「できた!。」

両手を上に上げて、うーん と伸びをする。口の中にはまだ少し飴が残っている。

「恋の味って苺味?」
机の上に並べてあった包みに目をやってつぶやいてみた。味は普通の苺飴。

「さくら」

耳元で名前を呼ばれてビクっとする。
いつの間にかソファーを降りて、小狼くんが隣に座っていた。

「なあに?」

返事をさえぎるような、唇の柔らかな感触。
目の前には小狼くんの長いまつげ。
目を閉じて、大好きな彼の胸に右手を当てる。

「んっ」

唇の間からそっと入り込んできたそれは、口の中にあった小さな飴を絡め取るかのように優しく動く。
その感覚に、頭が白くなっていく。

「恋の味になったろ」

ゆっくりと唇を離すと照れくさそうに言って、立ち上がった。
口に手を当ててぼうっとした頭で考える。

キスの後、口の中に広がるのはさっきとは違う味。

「苺ミルクだ・・・」

甘酸っぱくて、優しい味
口の中に広がって、幸せな気持ちになる。

それは恋の味・・・。

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あなたの恋の味は?


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