Short Story 1
□おまじない
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「ほえーーー!!!」
柔らかな布団を跳ねのけるように、まさに飛び起きたさくらは、鳴り止まない胸の鼓動と頬の熱さに戸惑った。
何度もここが自分の部屋であることを確認するように見回す。
ー夢 だよね
「なんや」
眠そうなケルベロスが机の引き出しから顔を出す。
さくらは熱い頬に手を添えて、そのぬくもりを取ろうとしたがうまくいかない。
「さくら、なんちゅー服の着方してんのや」
後ろ前を反対にしたパジャマを見てケルベロスはあきれた声を出した。
「これはおまじないで」
「まじない?」
いつになく厳しい声を出したケルベロスにさくらははっとさせられた。
「なんのや」
「え、っと」
うそを許さないような声は、普段のケルベロスからは発せられない。何か危険が迫ったときなどの声。
「好きな人と同じ夢が見られる・・・。」
厳しい顔と声はその一言で少し和らいだ。
「同じ夢な・・・。それ位ならええかもしれんが、できることならまじないはやらんこっちゃ。自分に魔力があること忘れるんやない」
さくらの頭をぽんぽん叩きながら、封印の獣らしい言葉をならべる。
「同じこと小狼くんにも言われたよ」
「で、どんな夢見みたんや。さくらが見た夢やから、『好きな人との未来の予知夢』になっとるやろ」
やっと収まりかけた頬の熱さは熱を帯び。
忘れかけていた夢を思い出させた。
「///」
二人の距離がずっと近づくのはもうすぐそこ