CP小説
□重症片想
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久し振りに、十兵衛と2人で宿場まで戻り、赤魂稼ぎをしている。
十兵衛は、人といるときはよく喋る。
今も、よく喋っている。
「天海って〜」
「ロベルトって〜」
「お初姉って〜」
確かに俺に向かって話しているんだが、なんだか話している気にならない。
いつもの調子で答えられてるだろうか。
仲間が増えたのは嬉しいけど、その分、十兵衛は俺以外の人間にも目がいくようになった。
それが、嫌なんだ。
…たぶん、嫉妬なんだろう。
仲間に嫉妬するなんて。
正直、宗矩にも嫉妬している。
負の感情ではあるが、あれほど一人の男を思うことに。
醜いな、俺。
俺だけを見て欲しいなんてわがままだ。
十兵衛は俺の女というわけじゃないんだ。
俺の片思い。
「アオ兄ィ!犬だ!可愛いな〜お前。」
犬を撫でる十兵衛を見て、犬に嫉妬する俺は明らかに重症だろう。
ここまで酷いとは思わなかった。
ヤバい。ヤバいぞ俺。
だから、犬と戯れる十兵衛を目の前に俺は決めた。
「なぁ、十兵衛。」
重症なこの想い
お前に伝えるよ
……茜
fin