短編

□君が大事
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どの教室にも一人を好む人がいるだろう。

決して友達がいないわけじゃないが、一線を引いている人。

ここにも、1人いる。



「おはよー、藤村(フジムラ)」
「あぁ、おはよ」

藤村と呼ばれた少年は顔をあげて返事をしたが、またすぐに目線を下ろし、小テストの勉強をし始めた。

藤村に挨拶をした少年は別の少年のところに行った。

「高倉(タカクラ)!おっはよー!」
「おはよう」
「なぁ、今日の小テストの範囲ってどこ?」
「今日はココ」
「はー?ムズいじゃねぇかー。絶対落ちるわー」
「はいはい、頑張れ」
「冷てぇなぁ高倉〜」
「あ、おはよう伊橋(イバシ)」
「はよ。高倉、英語見せて」
「はいはい」

高倉の周りには数人の男子が集まり、雑談している。

高倉は会話しながら、時々、藤村のほうを見た。

寂しそうな心配そうな顔で、見ていた。





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