CP小説

□陽だまり
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仕事が一段落ついたので、市に会いに行くことにした。

今は春の終わり。外は晴れていて、気温もちょうどいい程の暖かさ。

襖を開けると、市と産まれたばかりの娘 茶々が二人並んで寝ていた。
窓から差し込む太陽の光の下で、すやすやと。
市も茶々も可愛い顔で寝ている。
思わず顔が緩む。

某は市の隣に腰を下ろし、市の髪に触れてみた。
さらさらとしていて、触り心地がいい。
頬に触れてみた。
柔らかくて、幼子のようだった。

「ん…。」

某が市の頬に触れたからだろうか、市が目を覚ました。
ぼんやりとした瞳で、某を見る。
ぼんやりとした瞳は、驚きに変わった。

「な、長政様!!?」
「おはよう、市。」
「いつからいらっしゃったのですか!?」
「ついさっき、かな。」
「〜起こして下されば良かったのに…。」
「いや、市も茶々も可愛くてな、起こすのが勿体なく思えたんだ。」

そう言って、某は市を抱き締めた。
市の体は太陽の光を充分に吸っていて、いつもより暖かかった。

「あまりに可愛くて、微笑ましくて、今が戦乱の世であることを忘れてしまったよ。」
「長政様…。」
「早く、争いが無くなるといいな。」
「…そのために、長政様は頑張っていらっしゃるのでしょう?ですから、長政様の努力次第ですよ。」

顔は見えないが、市はきっと、悪戯っぽい笑みを浮かべているだろう。
某は苦笑して、市の顔をこちらに向けた。

「市も協力してくれるか?」
「もちろんです、長政様。」

そして、某は市に口接をした。










まだ幸せであった頃の一時。






fin
 

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