CP小説

□たとえばこんなバレンタイン
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寒さ厳しい2月のある日

我聞と中之井は現場に行き、社内には陽菜と優と辻原がいた。
カタカタとパソコンを打っていた優はふと顔をあげた。

「あ」
「どうしたんですか、優さん」
「ん〜、我聞くんたちって何時帰って来る?」

陽菜は携帯電話を取り出し、予定を見た。

「あと数分で帰って来ると思います。でも、聞いてどうするんですか?」
「ほら今日バレンタインでしょ?みんなが帰って来たくらいで渡そうかな〜って」

陽菜は動きが止まった。

「あれ?はるるん?」

陽菜はいきなり立ち上がると、「ちょっと出掛けてきます」と言って出て行った。

「あれは、期待してもいいのかにゃ〜」

優はにやりと笑った。





「現場あがりましたー!!」
「やっぱり会社は暖かいのぉ」

陽菜が出て行って数分後、現場に行っていた2人が帰って来た。

「あれ?國生さんは?」
「今出掛けてるよー。ふふー」
「?」

優の謎の笑みを不思議に思ったが、所詮は我聞なので特に気にすることなく社長席に座った。
しかし、座っても落ち着くことがなくそわそわしていた。

「社長、報告書を書いて下され」

そわそわしている我聞を『やることがなくてそわそわしている』と解釈した中之井が我聞に仕事を与えた。

「あ、ああ、はいっ」

ガサガサと引き出しから報告書とペンを出した。
そして報告書を書き始めたが、やっぱりどこかそわそわしていた。
そんな様子を不思議に思ったのか単に興味を持っただけなのか、辻原は我聞が書いている報告書を覗き込んだ。

「………社長」
「な、なんですか?」
「字の間違いが多すぎます」
「…………」
「社長!紙は大事に使って下され!!」

辻原は「やれやれ」と言って我聞の報告書を取り上げ丸めて、ゴミ箱に捨てた。

「どうしたんですか、社長」
「〜〜俺も出掛けてきます!!」

そう言い残して、我聞も出て行った。

「青春ですかね〜」

辻原はしみじみとしていた。


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