CP小説
□kiss
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廃墟となった建物の一室で、悟空と茜の声が響く。
「決着をつけるときが来たな。ぜってぇ負けねぇからな!!」
「それはこっちの台詞だ!!」
2人は睨み合っており、穏やかではない雰囲気が漂っていた。
2人の側には三蔵、悟浄、天海、ロベルト、お初がいて、2人を見守っていた――といっても、本当に見守っているのはお初ぐらいだろう。
悟浄はお初に近付こうとしロベルトがそれを阻み、三蔵はどこからかイスを引っ張り出して寝始め天海はぼんやりと宙を見ている。
「八戒はいつも優しいし、かなり強い!」
「アオ兄ィは仲間思いだし、めちゃくちゃ強いんだ!!」
2人とも譲ることはなく、また睨み合う。
「八戒の瞳はキレーだし、身長も高くてカッコイイし!!」
「アオ兄ィの亜麻色の髪はキレーだし、ホストの服が似合うくらいカッコイイんだ!!」
2人を止める人はおらず、口調に激しさが増す。
「八戒の料理はウマいし、キスだって上手いし!!」
「! アオ兄ィだって…。アオ兄ィは…」
茜の声はどんどん小さくなっていった。
実は、茜は蒼鬼とキスをしたことがなかった。
蒼鬼はなんとなくキスを避けているようで、蒼鬼は本当に自分が好きなのかと茜は度々不安になっていた。
「なんだ、もう終わりか?」
「終わってねぇよ!!終わってねぇけど」
本当に好きなら、やっぱりキスするんだ
「十兵衛ちゃん!?」
茜の様子がおかしいと気付いたお初が茜に近寄ると、茜は涙を流していた。
「どうしたの!?」
「…お初姉ェ」
茜の涙はとまらない。
「おい、悟空。女の子泣かすのはいけねぇだろ」
「だって、俺なんも」
「そこまででいいでしょ、悟空?」
今までいなかった八戒と蒼鬼が部屋に入ってきた。
「悟空、行きましょう。あの子は悟空のせいで泣いたんじゃありませんから」
「…ホントか?」
「僕を疑うんですか?」
悟空はすぐに首を振った。
八戒はそんな悟空を見て微笑み、部屋から出るように悟空を促した。
悟浄は「やれやれ」と呟き、三蔵を起こして無理矢理歩かせ部屋から出て行った。
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