短編
□篩
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テレビには、モザイクがかかってもどこか分かるほどよくよく見慣れた家家が建ち並んでいた。
「家族仲も良くって、………はい。もう全然、そんなことないですよ」と、近所のおばさんが言う。
上辺だけは良かったからね、私。だって、何もしないから。
「普通の女の子で、そんなことする感じじゃなかったです」と、友人面した中学の同級生が言う。
忘れてたくせに。私のことなんて頭に無かったくせに。
学校離れてもそれなりに仲のいい友達は、テレビに映らなかった。
私は貴女の言葉が欲しいのに。
テレビには、モザイクがかかっていてもわかるほど見慣れた学校が映っていた。
「イジメはありませんでした」と、校長が言う。
ホントに無いんだよ。でも、マスコミはイジメがあってほしいんだろね。
「ホントにいい子でぇ、ホント信じられないですぅ」と、友人面したクラスメイトが言う。
アナタたちに私に何をした?
私はアナタたちに何をした?
何もしてないくせに、何言ってるの。
いつも一緒にいた子はテレビに映らなかった。
私は貴女の言葉が欲しいのに。
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