短編

□walk with
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授業が終わり、みんなが思い思いの放課後を堪能し始めるなか、綾夏は携帯をかまいながら待っていた。

「綾夏ー」

教室の入口から、綾夏を呼ぶ男の声が聞こえた。
綾夏はパチンと携帯をたたみ、カバンを持った。

「毎日毎日、彼氏のお迎え羨ましいね〜」

綾夏の友達がニヤニヤ顔を綾夏に向けていた。
綾夏はそんな友達を見て苦笑した。

「毎日言ってるけど、舜司(シュンジ)はただの幼馴染み!」

そりゃ、彼氏だったら嬉しいけどさ

綾夏は心の中でポツリと言った。

「はいはい。じゃあね、綾夏」
「バイバイ」

手を振って友達に別れを告げ、舜司のほうへ向かった。



今日こそ…今日こそ言うんだ!!










綾夏と舜司は家が隣同士の幼馴染みだ。
同じ幼稚園、同じ小学校、同じ中学校ときて、現在 2人は同じ高校に通っている。

きっかけは今となっては思い出せないが、幼稚園のときから、大抵2人で登下校している。

それが当たり前だった。

そして、そんな2人の関係はただの幼馴染み。

少なくとも、一ヵ月前までは綾夏もそう思っていた。

なんで、急に舜司が好きだって気付いちゃったんだ…

本当に突然で、綾夏は1人で慌て戸惑たが、一つの結論を出した。

とりあえず、コクる

しかし、10年以上も一緒にいる幼馴染みに「好き」というのは、気恥ずかしく、恐いことでもあった。

舜司から「好きだよ」とか言ってくれないかな〜〜

10年以上一緒にいて、そんな雰囲気は今まで微塵もなかったのだ。
そんな期待は無駄であることを綾夏は充分に分かっていた。



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