みんなの物語

□夜叉戦記
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廃墟と化した住宅街の公園に髪の短い少女がいた。

その少女は薔薇の様に深紅の髪をしていた。
その少女は鮮血の様に深紅の瞳をしていた。
その少女は紅蓮の様に深紅のワンピースを着ていた。
少女の肌は鮮血で汚れていた。


少女の右手には血濡れた包丁があり、少女の回りには首を切断された死体や、腕を切断された死体、額を刺された死体等々、十体以上の死体が転がっていた。

死体は腐りかけた、子供、主婦、男、女…等々。


何の変哲もない包丁で、華奢な少女が固い骨ごと、しかも十体以上の人間をバラバラに切断し殺害したなど、その少女の右手に握られた深紅に染まった刃がなければ、誰も思わないだろう。
だが、真実、この凄惨なる虐殺はこの少女によって行われたのである。

この廃墟と化した住宅街では、汚れた空気も、紺碧の空も、沈みかけた太陽も、全てが悽愴だ。

廃墟と化した住宅街に人は誰も居ない、入るのはゾンビと――――
"強化人間 桐生 渚"だけであった。
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