謙光・千石攻め

□『recollection』
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『from:白石部長
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昨日は災難やったな。具合はどうや?オサムちゃんには俺がきつく言うといたから。

せやけど…ええもん見せてもろたわ。全員の前で大胆告白とか財前もやるやん。「ずっと好きでした。付き合うて下さい」て言うセリフも無駄が無くて完璧や。絶頂や。

謙也も謙也でずっとお前のこと好きやったから二人が上手く行って俺も嬉しいわ。ちょっとヘタレであかんとこもあるけど謙也んこと頼むな。

…纏まった途端、謙也にべったりでいちゃつくんは少し控えるように。
あ、今日の部活は休みにさせたからゆっくり休んでな。ほな』

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アホや。俺は。
酔って勢いで告白してもうて、それを忘れるなんて。…しかも受け入れてくれたことも忘れるなんて。

「ほんますんません。俺…、せやけど言うた言葉に嘘は一切無いんすわ」

「…ほんまに?」

「はい」

「なに言うたか分かっとるん?」

「はい」

「ほんなら…もっかいやり直そうや」

「…はい」

数歩離れとった俺と謙也さんの距離を触れられる距離まで縮める。
じっと見つめられて顔に熱が集まっていくのが分かったけどそんなの関係無い。

「謙也さん」

「…おん」

「…俺、謙也さんが好きなんです。ずっと好きでした。俺と付き合うて下さい」

昨日、俺が言うたらしい言葉をその通りにもう一度口にする。

「…ほんまにええんやな?もう今度は無かったことには出来ひんで」

「されたら困ります」

「ははっ。さよか。せやったら…
…はい。俺もずっと好きやった。ずっと見とった。せやから、よろしくお願いします」

…この言葉も昨日の通りなんやろうか。今度はしっかりと受け止めた。

「………」

「…な、なんか言えや」

「や、分かっとるつもりやったんすけど、実際言われると、なんや…嬉しすぎて」

「な、なんやねんお前は!それ以上カワイイこと言わんといてや!」

「わ…!」

道路のど真ん中とかもお構いなしに謙也さんの腕に閉じ込められる。
…信じられへんけどほんまに謙也さんは受け入れてくれた。伝わる温もりはまた包まれるような優しさに変わっとった。

「はぁ〜…もうほんまに焦ったっちゅーねん。記憶が無いとかどんだけベタなボケやねん」

「や、ボケちゃうんすけど…」

「よし、分かった。今から買い物行くで」

「は?」

「プレゼントはいらんとか昨日言うとったけど、俺を焦らした罰や。貰ろてもらうで」

「え、ちょ、なに…」

昨日俺がそんなことを言うたんかは知らんけど、罰で物を貰うてなんや。やっと全部分かったと思たのにまた分からへん。

「…もう忘れられへんようにお揃いのもん買うたる。せやからもう忘れたりせんときや」

…なんやそれ。全然罰ちゃうし。もう忘れへんて分かっとるくせに。そんなんせんでも、忘れろ言われても、もう二度と忘れへん。忘れられへんわ。

…俺ばっかり嬉しくて悔しいから俺も負けんくらいあんたのことが好きなんや。て、
─伝われ。そう願って言葉にする代わりに謙也さんに力の限り抱きついた。



暑いのは嫌い。でも謙也さんに抱きついて暑くなるのは嫌いやない。
夏休みは別にどうでもええ。でも謙也さんと一緒におれる時間が増えるなら、他の奴らみたいにテンション上げてもええかもな。

1日遅れてやってきたプレゼントのおかげで今年は最高の夏になりそうや。


「…そんなん無くてももう忘れへんけど、お揃いのもんて…ええっすね」

「…やろ?」



HIKARU HappyBirthday!


END☆

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