リクエスト

□222の奇跡
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「お、今日もおったおった。
ひかる〜ええ子にしとったかぁ?」

ニャーと一声鳴いて擦り寄ってくるそいつは少し前からテニス部部室の裏に居座ってもうた迷い猫

首輪もついとるし毛並みも綺麗やからどっかの飼い猫やろうけどまだ飼い主は見つかっとらん

その間、テニス部のみんなで面倒見たろーてことになってんけど、
なんでかそいつは俺ともう一人にしかなつかんくて必然的に2人で世話することになってもうて


「あ、謙也さんに先越されてもうた」


そう言って顔を出したのは、なつかれとるもう一人の人物、光やった


「今日はええエサ持ってきてやったで〜」

「お!ほんまや!本マグロ入りやって!?むっちゃ贅沢やん」

「謙也さんも食うてええですよ」

「なんでやねん!」


こうやって光とひかると俺の3人で戯れるんが日課になった


「で、ええ加減こいつに名前つけんでええんすかね」

「飼い猫やねんから名前ついとるやろ。やのに違う名前で呼んだったら混乱せんか〜?」


「ひかる」て呼んどんのは光には内緒

…やって、好きな相手の名前つけとるやなんてバレたらむっちゃ恥ずかしいやん!

それも本人にやなんて!


――――――



「じゃあそろそろ帰りましょか、謙也さん。また明日な〜」

「ええ子にしとくんやで〜」


朝と部活が終わった後、エサあげて少し遊んで帰る

せやからひかるが来てからは毎日光と一緒に帰るようになった


「寒いっすね〜」

「光は体温低いもんなぁ」

「謙也さんが暖かすぎるんすわ。その体温分けてくださいよ」

「…せやったら手でも繋いだろか?」

「…ええっすね、それ。繋いだりますわ」

「なんやそれ」


光と一緒におることが増えて俺は益々光が好きになった

クールに見えて実は甘えたやとか、ひかると一緒に遊んどる時のむっちゃカワええ笑顔なんて俺しか見たこと無いハズや

ほんまに好きで好きでたまらん


でも好きとは言われへん

やって男同士やし。普通はあり得へんやろ

「お前ら付き合うてんちゃうん?」て蔵に言われたことあるぐらい仲良く見えるらしいけど(実際に仲はええと思う)

仲ええのと付き合うのって別もんやし

それにもし好きやって言っても、あかんかったらもう一緒におられへんようになるかもしれんやん


そんなん嫌や。

これが一番の理由やと思う

フラレるんが怖くて、一緒におられへんようになるんが怖くて、告白出来ひんて…
やっぱり俺ってヘタレなんやろか…


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