リクエスト

□body with heat
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「あいた 」


たった3文字のメールが届いた

それから1時間後、俺は謙也さん家の前に立っとった





今日は久々に練習も無い休日

出掛ける約束も珍しくしてへんかったから部屋でいつも通り音楽聞きながらパソいじっとった

…連絡来ーへんかな…
て携帯をすぐ取れる位置に置いとくのも忘れずに

そしたら昼過ぎに聞きたかったメロディが流れ出して速攻で開く

…で。メールの中身は冒頭の言葉のみ


あいた?…あ痛?いやいや、意味分からんし

せやったら「あいた」に続く言葉なんて一つしか思い浮かばんのやけど…

『あいたい』…会いたい…ちゃうんかな

謙也さんからこないストレートなメール貰ったこと無いし内心バクバクで『文、途中で切れとります』て返信してんけど、
─返信無し

電話もかけてみたけど、
─留守電

そっから結構連絡待っとっても一切なんも無くて。あんなメール送っといてなんやねんてちょおムカついて謙也さんちまで来てもうたて訳や

…いや、と言うか。ほんまは俺も会いたいなて思てた、とか言うのは絶対教えたらん


そないなこと思いながら家に着いて
インターホンを鳴らしたり扉をノックしたりしてみたけど反応は無かった

─おらんのかい!て今度はほんまに少しムカついてドアノブに手をかけたらあっさり開いてもうて、
玄関には謙也さんがいつも履いとるスニーカーだけがあった

…あれ?おるんか…?


謙也さんの携帯に電話をかけてみたら2階から微かに聞こえてくる着信音

…確かめるだけです。
て忍足家に心で断りを入れて俺は謙也さんの部屋まで入ってみることにした




そしたら。


ベッドの上で眠る金髪を発見


「まだ寝とんのかい…」

て半ば呆れて起こそうとしたけど、…ん?て途中で手が止まった

…なんや…息遣い荒い?てか顔もなんや赤い気する…

起こさんように手を額に当てたら、案の定えらい熱い
それも「あっつ!」て思わず言ってしまうほど

ベッドの横に目をやると寝る前に計ったんか「40」のメモリで止まっとる体温計があった

40度。体温が元々低い俺からしたら考えられへん。37度越えたら頭痛なるわ

とか考えとったらさっきの俺の声で起こしてもうたんか


「…ん?…ひか…?」

俺の名を呼ぶ声


「あ…起こしてまいました?」

謙也さんの方に向き直った俺は固まった


…いや…。あ、あかんのちゃう…?これ。


いつもよりも舌ったらずで間延びした名前の呼び方に、潤んだ瞳、赤く上気した頬、うっすらと汗もかいとって…


あかん…めっさ…なんや……色っぽい
てか…………エロい


固まっとる俺に謙也さんは寝惚けとるんか

「…んー…夢か?ひかるが見えるー…ええ夢やなぁ」

体を起こして目を擦りながらふにゃって笑う

……うわ、なんやこれ。めっさカワイイねんけど…


「ひかるー…こっち来てぇやぁ…」

て両手伸ばしてきたりするもんやから俺はフラフラと無意識に謙也さんの元へ

そしたらいつもより弱い力で手を引かれて腕に閉じ込められた

「はぁ〜…この夢…触れるんやぁ。ほんまむっちゃええ夢やな〜」

ぎゅうぎゅうと抱き締めてくる謙也さんに俺は未だ固まったまま

「け、謙也さん…あんたこないカワイイ人でしたっけ…」てなんとか返したった

「カワイイ〜?カワイイのは光やっちゅー話やし〜。……ん?この夢、話も出来るん…え?─ん!?…あ、れ?…ひかる?もしかして…夢、ちゃう…?」

やっと覚醒したっぽい


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