謙光・千石攻め
□『サンタの贈り物』
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いつものように立海まで向かって、
いつものようにテニス部の部室のドアに手をかけたとき
聞こえてきた会話
「…そーいや赤也。お前はクリスマスどう過ごすんじゃ?」
「あー…」
「なんじゃ?決まっとらんの?」
「いや…これから多分、予定入る予定ッス」
「仁王〜!こいつ色んな女子からお誘い受けてたんだぜぃ?」
「わっ!丸井先輩っ!?どっから沸いて出たんスかι」
「どの女子にするか考え中っつーわけか!?」
「ち、違うっスよ!!
…1人に決まってるんスけど…。
俺もいい加減、素直になろうかと思ってるとこで…」
「なんや意味深やの〜」
「どの子にするのか教えろぃ♪」
「だからっ違うって言ってるじゃないッスか〜」
………
…予定、入る予定なんだ
て言うか。
そんな相手いたんだ
切原くんモテるし…当たり前、か…
…あれ。俺、誘う前にフラれちゃった?
そっか〜…アンラッキーだなぁ…
あの日からもう立海には行ってない。
てか、行けなかった
切原くんの顔見るのが辛くて
で、クリスマスに1人ぼっちてのも寂しすぎるから合コンに参加中なわけです
でも…やっぱり、帰ろ
全然楽しくないや
「ちょっと俺トイレ行ってくるね〜」
そう言って席を外してそのまま外へ出る
「先に帰る」って、メールだけは送っといた
「はぁ〜ぁ」
あんまりため息つくとラッキー逃げちゃうんだけどな
思えば
クリスマスっていい思い出なんてあまり無い気がする
小学生の時、親がプレゼント用意してるのを見ちゃって。早々にサンタなんていないって知った
中学生になって、無理矢理合コンに連れていかれて、それがバレて。クリスマス当日に平手打ちくらったこともあった
俺は誰とも付き合ってたつもりなんて無かったのに、二股だの三股だの言われて修羅場ったこともあったなぁ
そして今年は
本気で好きになった子には…誘う前にフラれるし…
本当にいい思い出なんて無いや
普段がラッキーな分、その皺寄せが全部クリスマスに来てたりして
「はぁ…」
また、ため息
…切原くんの声が聞きたい…顔が見たいな
全然諦められてないじゃん、俺…