10/24の日記

21:44
No.6設定パロ(謙光)
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はぁっ…はぁっ…

……もう。あかん。

手も足ももう動かない。激しい雨にも打たれ体力は既に限界を越えている。いったいどれだけ走ったのだろうか。
それでも、じきに「連中」がやってきて俺は捕まる。

 そして──殺される。


ふと周りを見渡せば、国に最高ランクと認められた者だけが住むことを許される住宅街が広がっていた。
俺には縁の無い場所。こんなとこで俺は終わるのか。

「…くそったれ」

そう呟いた時だった

 ガラッ─

いきなり、身を潜めていた建物の2階の窓が開いた。そして出て来たのは、よくは見えないが少年らしき人影。
そいつは何をするわけでも無く、強い雨粒に打たれていた。そして暫くして部屋へと姿を消した。
─窓を開けたまま。

「入ってこい」と声を掛けられた気がした。
神からの助けでは無くあの少年の声が聞こえた気がした。


部屋に入ると、先ほどの少年がこちらに背を向けモニターらしきものを操作している。しかしすぐに終わりこちらを向いた。

─俺と目が合う。

大きな目を見開いて、次に口を開こうとしたがそれは俺の手によって叶わなかった。

「…騒ぐな。下手なマネしたら─殺す」

首を絞められたまま少しの間、驚いた表情で俺を見ていたが、やがてコクンと一度頷く。
…状況整理はなかなか早い。とついでにそいつを観察してみると、どうやら自分と同じくらいの年齢に同じくらいの身長。一つ決定的に違う点は俺の真っ黒の髪色に対してそいつは明るすぎるくらいの金髪だった。
最高ランクに認められた人間が金髪─。髪色に規制は無いものの至極珍しく、少し気になったが何かを言いたそうにしているのに気づいて考えるのを止めた。

そして、手をゆるめてやったそいつから発されたのは検討もしなかった言葉だった。

「─ケガ、しとるやん。手当てしな」



そいつは言うなり俺の手当てをし始め、泥だらけの俺の服の代わりに着替えを出し、それだけに留まらず食事まで用意してきた。

「どうや?美味かった?」

食い終わるのを見計らってニコニコと話しかけてくるそいつの顔は一言で表してアホ面。

「純粋培養の坊ちゃんはみんなこんなアホ面なんか?」
「ア、アホ面とは失礼やな!助けてやったのに!」
「…その助けたのが間違いや。俺がどんなやつかも知らんくせに」
「そう言やせやな。名前なんて言うん?俺はケンヤ、忍足ケンヤや。そっちは?」



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