◇short novel box◇
□ただ好きなのに
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亜蘭のことを忘れる・・・
明日には私の記憶から彼のすべてを消されてしまう。
胸が痛い。
ギュッとつぶされるような痛みが私を苛む。
こんなに好きなのに、忘れなくてはいけないの?
いっしょにデートしたこと、やさしいキスを交わしたこと、みんなみんな私の心から消えてしまう。
すごく胸が痛い。
亜蘭は、私が忘れてしまったらどうするんだろう。
また以前の彼にもどってしまうんだろうか。
私に裏切られたと思うんだろうか。
彼のためには離れなくちゃいけないってわかっているけど、
身が引き裂かれるようにつらい。
なぜ出会ってしまったんだろう。
なぜ恋に落ちてしまったんだろう。
忘れてしまうぐらいだったら、出会わなければよかったのに。
私が忘れてしまったら、彼は一人でその記憶を抱えていくのだろうか。
神様・・・
これは・・・
人間の私がヴァンパイアの彼を好きになった罰ですか?
ヴァンパイアの彼と恋に落ちたことは罪なのですか?
私の脳裏から彼の記憶が消えても、
この胸の痛みはきっと残る。
どうか神様・・・
彼の魂をお救いください。
end
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