八重桜の物語
□第六章
1ページ/13ページ
病院で男が現れた次の日、月の傷口が開いていることがばれて、早く退院できるかと思われたが、普通どおりに戻された。
「・・・部屋から出たらいけないなんて横暴だわ」
月は外に出ると、動きまわり過ぎると看護婦さんに言われ、今日は部屋に出ることが出来なかった。
コンコン
「・・・どうぞ」
月の不機嫌は表にも出ていて、声は低い。
「何を怒っているのだ」
「・・・千景、どうしてここがわかったの?」
「俺の情報を侮るな・・・というか姉さんが教えてくれたんだ」
「千景のお姉さんが?」
「ああ、丁度お前の住んでいる街に用があってな、お前が倒れているのを発見したのは姉さんだ」
「ええ〜〜、それはすごい偶然だね」
「ああ、昨日家に帰ってきてそう話してくれた。」
「そう・・・まっ、こっちに座ったら」
月は千景に椅子を出し、そちらに座るように促した。
.