八重桜の物語

□第六章
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病院で男が現れた次の日、月の傷口が開いていることがばれて、早く退院できるかと思われたが、普通どおりに戻された。

「・・・部屋から出たらいけないなんて横暴だわ」

月は外に出ると、動きまわり過ぎると看護婦さんに言われ、今日は部屋に出ることが出来なかった。

コンコン

「・・・どうぞ」

月の不機嫌は表にも出ていて、声は低い。

「何を怒っているのだ」

「・・・千景、どうしてここがわかったの?」

「俺の情報を侮るな・・・というか姉さんが教えてくれたんだ」

「千景のお姉さんが?」

「ああ、丁度お前の住んでいる街に用があってな、お前が倒れているのを発見したのは姉さんだ」

「ええ〜〜、それはすごい偶然だね」

「ああ、昨日家に帰ってきてそう話してくれた。」

「そう・・・まっ、こっちに座ったら」

月は千景に椅子を出し、そちらに座るように促した。






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