ガンダム00中編&企画モノ置き場


Merry Christmas!
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+Merry Christmas!+



「ソーマ、どこか出掛けたい?」


アレルヤが、ソファに深く腰掛けてすっかりくつろいだ姿勢の少女に向けて問いかけた。
外は当然寒いだろうが、室内は暖房を効かせてあるからぼんやりと暖かい。
時刻はすでに深夜に近づき、もうしばらくしたら日付は変わるだろう。
『クリスマス・イブ』が終わろうとしていた。
こんな時間から別段どこに行こうというわけではないが、せっかくのクリスマスなのだから夜の散歩にでも出掛けたいと思っていたのだが……。


ソーマと呼ばれた少女は、やや眠たげな視線を持ち上げてアレルヤを見ると、ふるふると首を振った。
縦ではなく、横に。
そのリアクションにアレルヤは少し苦笑すると、少女の隣に腰かけた。


「眠い?」


まるで幼い子供にするようにそっと髪を撫でながら聞くと、ソーマは細めていた瞳を見開いて不思議そうな顔で聞き返した。


「わたし、眠そうに見えますか?」


ソーマの方が驚いた顔をする。
おや、と思う。
先ほどソファに沈んでいた彼女は、野生の獣が体を横たえるときのような、ある種無防備な姿に見えたからだ。
普段から常に凛と姿勢を正す彼女が気を抜くときは、おそらく眠りにつく瞬間だけだろう。
自分の腕に抱かれている時ですら、彼女はびくりと身を強張らせるのだから。
時間も時間だし、てっきり眠いのかと思っていたのだが、そうではないようだ。


「眠くないの?」


ソーマがきょとんとした顔で首を傾げ、はい、と頷いた。


「あ、でも……すごく心地良かったので……」


そのうち寝ていたかもしれません、と眉を下げて少女は小さく微笑んだ。


「心地良い……?」


アレルヤは少女の言葉をオウム返しに繰り返す。
ここはいつも通りの自分の部屋で、何一つ変わったことはない。
むしろクリスマスだというのにそれらしい装飾もろくにない、殺風景ですらある自室にアレルヤは目をやった。
やはり少女の言葉の意味をはっきりとは捉えられなくて、彼女が続けるのを待った。
ソーマがゆっくりと唇を開いて、一言一言紡ぎだすように言葉をつないだ。

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