ガンダム00中編&企画モノ置き場


Unrequited love1
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ソーマはしぶしぶ鞄を手渡すと、学校へと戻っていった。
それを見送りながら、ハレルヤは自分の携帯を開いた。
さっきから何度もアレルヤに掛けているのだが、なぜだか電源が切られているようで、まったく通じない。
役に立たない携帯を閉じると、ハレルヤは大げさなため息をついた。



*****



靴を履き替えたソーマは、校内をしらみつぶしに探すのは無理だと諦め、
とりあえず、二年生のアレルヤたちの教室に行ってみることにした。
教室に着くと、意外に早く探し人は見つかった。
前のドアの窓から覗くと、アレルヤの後ろ姿が見える。
すぐ見つかってよかったと安堵する。

だが、ドアを開こうと手を掛けたときに、気づいた。
教室内の人影が、一人ではない。
教室の一番後ろで、椅子の背もたれにやや体を預けるように立つアレルヤと向き合うかたちで、制服姿の女の子がいる。
珍しい色に染めた髪を、ふたつに結った可愛らしい少女。
アレルヤに比べると、ひどく華奢にみえる。
少女は、ソーマが見ている間中ずっと少し不安そうな顔で俯いていたが、しだいにその頬が紅く染まっていく。
必死に耳をすませても、扉に遮られて話声は聞こえなかった。
少女は最後にアレルヤに笑いかけると、近くの机に置いてあった鞄を手に取った。小さく手を振る。
アレルヤも同じように振り返すのが見えた。
すぐに後ろのドアが滑る音がしたので、ソーマはあわてて隣のクラスに逃げ込むと、ドアの後ろにしゃがみこんだ。

すぐ後ろの廊下を、少女が小走りで去っていく。
その足音は弾んで、とても嬉しそうに聞こえた。
名も知らぬ少女の後ろ姿を見ながら、ソーマは自分でも驚くほどに動揺していた。
どきんどきんと心臓がうるさく音を立てる。
小さな頃から当たり前に側にいてくれた幼なじみが、自分から離れていく。
その寂しさに気付いたからだろうか。
ずきんと胸が痛んだ。



*****



ドアの裏からそろりと出て、再びアレルヤの教室のドアの前に立つ。
教室を覗くと、アレルヤはまだ同じ場所にいて、腕を組んでいる。
なにか考えているように見えた。
息を整えて、小さくノックをする。普段通りに見えるように。
アレルヤが振り返り、ソーマに気づくとすぐに表情が崩れた。
ソーマがドアを開ける前に、アレルヤが後ろのドアから出てくる。


「ソーマ! ごめん、待たせたかな?」

「いえ。でも、ハレルヤが待ちくたびれていました」

「そっか。ごめんね?」


アレルヤがもう一度謝る。
それが違う意味に聞こえて、ひどくつらく感じた。

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