ガンダム00中編&企画モノ置き場


Merry Christmas!
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「同じ部屋にあなたがいて、暖かくて……それにとても静か」


ソーマはアレルヤの腕に寄り掛かり、その肩に頭をもたせかけた。
アレルヤの腕に自身の腕をぎゅっとからませる。
腕から伝わる自分よりもあたたかい体温が嬉しくて、ソーマはそっと瞳を閉じた。
アレルヤはソーマのこのような突然の行動に、最初の頃のように慌てふためくことはなくなったが、その頬はやはりあっという間に赤く染まった。
彼女に対して一方的に強い思いを抱いていた頃よりも、こうして触れ合える今の方がより彼女への気持ちを実感している。


「ごめんなさい、でも今はこうしていたくて」


ソーマの謝罪は、出掛けようというアレルヤの誘いへのものでもあり、彼女の我儘へのものでもあるようだ。
けれどこの穏やかな時間は、それよりも遥かに価値のあることだと断言できる。


「いいよ。それよりもきみが側にいてくれればいい」


ときにアレルヤはこういったことを躊躇いもなく発するから、そのたびに少女は戸惑う。
どう答えようか迷って、ソーマは赤くなった頬を軽く背けた。
黙り込んだソーマに、アレルヤがそっと切り出す。


「ソーマ、その……キスしてもいいかな……?」

「そ、そういうことは聞かないでください!」

「ごめん……目を、閉じてくれるかい?」


ソーマは言われるままにそっと目を閉じて、待つ。
こんなときいつも、破裂しそうな自分の心臓の音を聞きながら、もうだめだ、と思うのだ。
それは心がパンクして白旗を上げる、敗北宣言で。
身体が強張るのを抑えようと、知らず絡めた腕に力を込める。
ちゅ、と唇が重なってからやっと、地に足がついたように感じられた。
ほっと安堵して、自分の身体からしだいに力が抜けていくのが分かる。
感覚がしだいに触れ合っている感触だけになって、思考がくらりと霞む。
キスという行為は嫌いじゃないと思った。

やがてどちらからともなく唇を離して、触れるだけのキスが終わる。
そのまま抱き寄せられるようにして、ソーマはアレルヤの胸に収まった。


「もうちょっと、こうしてる?」


やわらかな銀の髪に口付けて、アレルヤが尋ねる。
時計の針が、かちりと十二時を指した。
ソーマはアレルヤの胸に頭を預けたまま目を伏せて、その問いには答えなかった。



END
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