○拍手お礼その1・ハレソマ







「ハレルヤ、手を繋いでもいいですか?」

「……あぁ?」


これまた率直なことを、この女は言いだした。
隣に座るソーマを見ると、にこりともせずに黙ってハレルヤの返事を待っている。
いったい何を考えているのかその無表情からは窺えないが、金色の瞳には真剣な色があった。


「なんだよ急に」


ハレルヤが少女を訝しげに見返し、当然の疑問を口にする。
こいつがそんなことを言い出すなんて、まずありえない。
これはなにかの罠なのか?
今日は何月何日だ?
それともまさか……


「もしかしてお前、甘えてんのか? 珍しいこともあるもんだなぁ?」


ハレルヤが意地悪くにやりと笑って尋ねると、ソーマはハレルヤをじと目で睨んで、ぷいと横を向いた。


「……もういいです」

「お、おい」


ハレルヤの慌てた声は完全に無視された。
ハレルヤはしまった、と心の中で小さく舌打ちする。
こいつは意外と頑固なところがあるから、今日一日は完璧に無視されるだろう。
内心でため息をつく。
こいつも俺もたいがい素直じゃないから、伝わるもんもまっすぐに伝わらない。
そんな関係も実は嫌いじゃなかったが、今日ばかりは反省した方がよさそうだ。


「おい」


ハレルヤが短くソーマに呼びかけると、ソーマが窺うように目だけをちらりと向けた。
その一瞬にソーマの腕を引いて引きよせ、唇をちょっと掠めるキスをする。
ソーマが金色の瞳を見開いて、自身の唇に触れた。


「悪かったな」


ハレルヤが顔を逸らしながら、手のひらを上に向けて腕を投げ出した。
自分に向けられた手のひらとハレルヤの横顔を見比べて、ソーマが驚いたように瞬きする。


「あ……」


徐々にソーマの表情に僅かに喜びの色が浮かんで、その頬が薄く染まる。
やがて、ソーマの細い指がハレルヤの指先をそっと握った。




+喧嘩しながら前に進む+



END




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糸遊はる





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