[天津飯×ランチ]
──…いつからだろう。
彼女が隣にいるのが当たり前になったのは…
「おい!起きろよ。朝だぞ?」
目覚めた天津飯の前には、金色の髪をしたランチ。
いつも声をかけてくれるのはこっちの彼女。
餃子と2人で修行していたときとは違い、朝起きるといい香りが出迎える。
「ご飯、冷めちまうぞ?」
───…
今日はめずらしく、修行にランチがついてきた。
「いっつも、こんな所で修行してんのか!!」
ここには何も無い
天津飯の言うとおり、ここはただの荒地。殺風景で、お世辞にも、綺麗とは言えない場所だ。
「いんだよ。お前のかっこいいところが見れれば。」
金髪のランチはさらっと言ってのけた。
ガンッ
ランチの言葉に赤面していると、油断して餃子の技によって砕けた岩が当たった。
「だ…大丈…は…っ」
はくしょん!!!
あ…
岩の当たった頭を押さえる天津飯の前に、綺麗な黒髪のランチが現れた。
「…あら!!今日はピクニックですか!?」
呑気にそう言うランチに、天津飯は思わず口元が緩む。
天津飯は思った。
…今日は、ピクニックにするか。
「まあ!!私のために?」
ランチは喜んだ。
天津飯からの誘いは初めてだ。
飛んで行くぞ。
掴まっててくれ。
天津飯はランチを抱き上げ、空へと上がっていった。
───…
ここは、小さな花畑。
「綺麗ですね」
天津飯は決めていた。
<2人の彼女>
に伝えようと。
ランチさん
「はい?」
ランチはいつものように、いや、いつも以上の笑顔を振りまいてくれた。
…その…これからも、一緒にいてくれないか?
こんなことが経験の無い、不器用な天津飯の精一杯の言葉。
「ふふっ。」
ランチは微笑んだ。
「当たり前じゃないですか。これからも、ずっと隣にいてくださいね。」
…と、タイミングよく
暖かな風に吹かれ…
「あ、あら…はっくしゅん!!」
ランチの黒髪が変化して、朝のような金髪のランチとなった。
「んんー?お、天津飯じゃねぇか!!ここ…、連れてきてくれたのか!?」
ああ
「すっごく嬉しい…!!ありがとな!」
金髪のランチもまた、いつもの笑顔で。
ランチさん…
2人目の彼女にも告げる。
これからも、一緒にいてくれ
───チュッ
……一瞬、天津飯には何が起こったか解らなかった。
「…当たり前だろ。オレにはお前しか見えねぇんだからな!!」
2人の彼女は、同じことを言ってのけた。
そこに、耳の先まで赤くして、立ち尽くす天津飯。
「男だろッ!!そんなんで固まるんじゃねぇぞ」
今度は強気なランチも赤面した。
──…天津飯は思った。
生涯にかけて、自分が一番守っていきたいもの。
その答えが、今、目の前に。
end.