あの頃…
□ハムスターのチャシロウ
1ページ/2ページ
小学生の頃の話し…
僕は小学生の頃、ハムスターを飼っていた。
その名はチャシロウ。
白と茶色の毛なので、そう名付けた。
このチャシロウ、脱走するわ、僕の手は噛むわ、全く持って可愛くなかった。
時には、脱走したあげく、僕が大切にしていた、百式のプラモデルさえ、粉々にした。
プラモデルを粉々にした日の夕方、僕はあまりにも腹がたって、近所の山へ捨てに行った。
誰にも内緒で。
山に着き、チャシロウを放つが、なかなか手の上から逃げようとしない。
そんなチャシロウを見ているうちに僕はなんだか可哀想になり、捨てるのを止めた。
それから数日後、チャシロウがまた脱走した。
いつもは、すぐ見つかるのだが、今回は3日たっても出てこない。
チャシロウが失踪してから4日が過ぎた日の夜中、オカンの悲鳴で目が覚める。
オカンの部屋へかけよると、オカンが耳を押さえて怒り狂っていた。
どうやら、チャシロウがオカンの耳を噛んだらしい。
これに怒り狂った母は、チャシロウのカゴの入り口を針金でぐるぐる巻きにし、二度と脱走できないようにした。
それから僕らは完全に可愛がる事を止めた。
数ヶ月後、異変は起こる。
今まで、車輪の中をぐるぐるまわる事さえなかったチャシロウが、カゴの天井にぶらさがり、遊んでいたのだ。
まるで、僕らにアピールするように…
僕は初めてチャシロウが可愛く思え、その姿を夜遅くまでみていた。
そんなチャシロウの芸はしばらく続いた。
ある日学校から帰った僕は、友達にチャシロウの芸を見せようと思い友達を家に呼んだ。
友達はスゲェ〜と言って喜んでいた。
僕はそんなチャシロウに鼻高々だった。
一通りチャシロウと遊んだ後、僕らは公園へと野球をしにいく。
時刻も午後7時前、オカンが血相をかえ僕を呼びにきた。
僕は遅くまで遊んでいたので、完全に殴られると思い、母から逃げた。
ふと後ろから母の力ない声がとんでくる。
『チャシロウが…死んだ』
僕は、グローブを投げ捨て、家に帰った。
続く…