あの頃…

□ハムスターのチャシロウ
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小学生の頃の話し…





僕は小学生の頃、ハムスターを飼っていた。


その名はチャシロウ。


白と茶色の毛なので、そう名付けた。


このチャシロウ、脱走するわ、僕の手は噛むわ、全く持って可愛くなかった。


時には、脱走したあげく、僕が大切にしていた、百式のプラモデルさえ、粉々にした。


プラモデルを粉々にした日の夕方、僕はあまりにも腹がたって、近所の山へ捨てに行った。


誰にも内緒で。


山に着き、チャシロウを放つが、なかなか手の上から逃げようとしない。


そんなチャシロウを見ているうちに僕はなんだか可哀想になり、捨てるのを止めた。


それから数日後、チャシロウがまた脱走した。


いつもは、すぐ見つかるのだが、今回は3日たっても出てこない。


チャシロウが失踪してから4日が過ぎた日の夜中、オカンの悲鳴で目が覚める。

オカンの部屋へかけよると、オカンが耳を押さえて怒り狂っていた。


どうやら、チャシロウがオカンの耳を噛んだらしい。

これに怒り狂った母は、チャシロウのカゴの入り口を針金でぐるぐる巻きにし、二度と脱走できないようにした。


それから僕らは完全に可愛がる事を止めた。





数ヶ月後、異変は起こる。




今まで、車輪の中をぐるぐるまわる事さえなかったチャシロウが、カゴの天井にぶらさがり、遊んでいたのだ。


まるで、僕らにアピールするように…


僕は初めてチャシロウが可愛く思え、その姿を夜遅くまでみていた。


そんなチャシロウの芸はしばらく続いた。





ある日学校から帰った僕は、友達にチャシロウの芸を見せようと思い友達を家に呼んだ。


友達はスゲェ〜と言って喜んでいた。


僕はそんなチャシロウに鼻高々だった。


一通りチャシロウと遊んだ後、僕らは公園へと野球をしにいく。


時刻も午後7時前、オカンが血相をかえ僕を呼びにきた。


僕は遅くまで遊んでいたので、完全に殴られると思い、母から逃げた。


ふと後ろから母の力ない声がとんでくる。


『チャシロウが…死んだ』




僕は、グローブを投げ捨て、家に帰った。





続く…
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