あの頃…
□無修正
1ページ/1ページ
5〜6年前の話し…
当時住んでいた会社の寮の近くにパチンコ屋があった。
その頃は『北斗の拳』や、『吉宗』などのスロットがもりあがっていた。
そこのパチンコ屋は、土日限定でイベントをやっていて、朝イチ、センターラインに777が揃っている台は設定5、6というイベントだった。
僕はその台をゲットするために、週末は夜中2時とかから並んだものである。
そのパチンコ屋のむかいには、エロビデオ屋があった。
ある日、そのイベントで儲けた僕は、不意にエロビデオ屋に入ってみた。
中に入ると、普通のエロビデオ屋だった。
所狭しと、お高さんやナベが好きそうな、いやらしいビデオや、本が並んでいる。
一通り店内を物色していると、店長らしき人物が話しかけてきた。
『お客さん、もっと凄いのが別の部屋にありますよ…』
…
僕の心は、ハゲかかったこの店長に犯されてしまうかもしれない恐怖と、もっと凄いのが見たいという好奇心で揺れた。
そして、好奇心が勝った。
おそるおそる、店長の後ろについていく。
もし、店長が変な行動に出たら、得意のクロスカウンターをお見舞いしてやろうと、ポケットの中で拳を握った。
と、店長がある棚の前で立止まった。
『
』
その棚が横にスライドし、隠し扉が現れた。
まるで銀行の金庫の様な、隠し扉を開けると、そこは10畳位の部屋が広がっていた。
店長『部屋を出る際は、インターフォンで、お知らせ下さい。ごゆっくりどうぞ。』
部屋の中央には、二台のテレビが置かれ、完全に無修正のビデオが流されていた。
さすがに無修正は値段が高い。
1本、1万円を軽く越える。
買うのをためらったのだが、何も買わずに、この部屋から出してもらえるのだろうかという不安から、特価セールという札のついた、6千円の物を手にとる。
普通のCDのケースに入っているそのDVDは内容すらわからない。
それを手にし、インターフォンで、出る事を告げる。
その内容すらわからないDVDを手に持ち、レジに向かう。
6000円を払い店を出た。
初めて裏の社会を見た様な気がした。
僕は一目散に寮へと帰り、プレステ2に、そのDVDを入れた。
耳にはヘッドフォンをして、準備は万全だ。
胸の鼓動が高まる…
…
…
何度トライしてもプレステ2が古すぎて、このDVDが再生する事はなかった。
後日談
パソコンを持っている友達の部屋で、そのDVDを見たのだが、昭和のにおいがするオバハンが登場する、熟女ものだった。
そして、あのエロビデオ屋は、いつしか無くなっていた。
終わり…