【新】闇の黒蝶

□part2
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あれから数か月が過ぎた。

流星街でも生活も慣れてきて、前の世界のことを思い出すこともなくなってきた。


もともと平凡でつまらなかった。いつも抜け出したいと思ってた。

だから、不思議と戻りたいとは思わない。



「レイ、行くぞ」


「はい、アスラさん!」



あたしはあの日から毎日日課としてやっていることがある。

それは、修行だ。


ここはHUNTERxHUNTERの世界だ。
元の世界とは生き方がちがうし、何より弱肉強食の世界。

強くないと、生き残れない。


だからあたしはアスラさんに修行につけてもらうことにした。

アスラさんもあたしに修行させるつもりだったみたいで、快く引き受けてくれた。


本当は念を教えてもらいたいけど、それよりまずは体力づくりからしてかなきゃダメだ。

いくら念ができても動けなければ意味がない。


だからまずは体力づくりから始めたんだけど…



「…2、1、0。終わってないな、500回追加。」


「ぜぇぜぇ、ま…た?」


「間に合わないのが悪い。」


鬼だ!と思ってもこちらが教えてもらう身。
文句は言ってられない。

あたしはまた地獄の特訓を始めた。


一日何千何百回と腹筋、背筋、腕立てを繰り返す。
また瓦礫の上をジャンプして移動していきながらランニングを何時間も行い、最終的にアキラと組み手をする。

そんな毎日を送っていた。


最初のころは意識が飛びそうになってたけど、今となっては楽にできるようになった。

…修行がつらいのは変わらないんだけど。



「498,499,500、と。よし、今日は終わりだな。」


「やった!」



やっと終わった。今日は組み手をしないでいつもより早く帰れる。

そんな日はほとんどないけど、ときどきこうやって早く切り上げるのだ。



アキラは情報屋をやっているらしい。
それも有名な。

いつもはパソコンで持っている情報を入力して終わらせることができるけれど、ときどきわからない情報を依頼されることがある。


そんなとき、こうやってあたしの修行を午前だけ見てから早く切り上げて情報を調達しにいくのだ。



「今日の夕飯はいらない。遅くなるから、先に食べて寝ていろ。」


「はい、アキラさん」


「じゃ、行ってくる」



そういって常人じゃ見えない速さでそこから消える。


初めのときは突然消えたように見えてびっくりしたけど、今となっては慣れた。

最近は動体視力が鍛えられて、見えるようになっている。
…完璧じゃないけど。


じゃあ早く帰ってお昼食べて、自主練しよっ


そう思い、少し離れたところにある廃墟に向かって走った。





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