【新】闇の黒蝶
□part1
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え?あたし死んだよね?なんで生きてるの?
てかここどこ?日本?は?
さまざまな疑問が浮かんでは消えるけど、それに応えてくれる人はいない。
しょうがないから自分で状況を整理することにする。
目が覚めて、一番最初に感じたのは寒さだった。
季節にして秋ごろ。
まだ夏の暑さが残ってるにしても、今は夜。
さすがに肌寒くなる。
あたりを見回すと、そこには建物なんかはなくて、ただの瓦礫の山と化していた。
人の気配もなく、明かりもない。
暗闇の中まだ目が慣れていないあたしにとってここは完全なる闇だった。
なにも…見えないし、聞こえない。
…怖い。
意味がわからなかった。
自分がなんでこんなところにいるかなんて。
あたしは死んだはずだ。猫をかばって、トラックにはねられて。
なのに、なんで生きてるの?
病院で目が覚めるならまだわかる。
あたし、助かったんだって。
だけどここはあきらかに(何も見えないけど)ちがうし、日本だったら外にこんな暗闇が広がる場所があるわけない。
少なくとも遠くの方に明かりが見えるはずだ。
なのに…。
頭が混乱する。
それになにより信じられないのが、なんのケガもしてなかったってこと。
ふつうトラックに跳ね飛ばされて無傷な人がいるだろうか。
わからない…なんで?
とにかく、だれか人を探そう。
そう思ってあたりを見回すけど、相変わらず暗くて全然見えない。
さっきよりは目が慣れて少しは見えるけど、こんな暗い中で歩き回ったところでケガするだけだろう。
…とりあえず朝まで待つしかないか。
そう思って、また冷たい瓦礫の上でうずくまった。
目を覚ましたら夢であると信じて。
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