SP
□螺旋1
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「アッ!…あっありがとうスタン…でもごめんね…僕今日クレイグと帰る約束してるから…その…」
「あれ?クレイグなら一人でさっさと帰っていったぜ?」
「え…?」
突如言われたスタンの言葉に思わず目が点になった。
クレイグ…いつの間に帰ったんだろ…普段なら僕の事黙って待ってくれるか「レッドレーサーみたいから先に帰る」とか一言何か言ってくれるのに…
まだ機嫌悪いのかな…
僕の事許してくれていないのかな……
どうやったらクレイグは僕の事許してくれるんだろう
どうしたら許して前みたいに接してくれるの?
わからない…わからないよ
そう思うとさっき考えてた事も合わさって悲しくなってきて僕の視界はなんだかぼやけてきたような気がする
「dudeどうしたんだよ?!」
スタンが心配そうにそういう声に僕は自分が泣いていることに気がついた。そうか…泣いていたから視界がぼやけていたんだ
泣き顔を見られたくなくて僕は俯いて手で顔を隠しながら首を横に振ってなんでもないと反応した。こんな風にすぐに泣くなんて本当に女々しいよね
僕がこんな女々しいからクレイグを怒らせちゃうんだ…
「っ…ごめん…何でもないから…」
「何でもないわけないだろっ」
そうだよね涙流して嗚咽しながら言っても説得力ないよね
「……本当なんでもないから…っ…大丈夫だからっ…」
それでも心配掛けさせないように僕は『なんでもない大丈夫』って言い続けた。
だって理由なんて言える訳がないよ
クレイグに嫌われたのが悲しいだなんてゲイっぽいしクレイグに迷惑かかっちゃう
暫く首を振っていたら突如温かくて優しい感覚が僕を包んだ
僕は一瞬何が起きたかわからなくて戸惑っていたけど、すぐにスタンが僕を抱きしめてくれてる事に気がついて顔が真っ赤になった
「辛い時に誰かに抱きしめて貰えると落ち着くよってケニーが言ってたんだ」…
慌てて離れようとする僕をスタンはぎゅっと抱きしめて優しい声で呟いてくれた