小説 復活
□腕の中の大空
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「………あの〜、お兄さん?」
「何だ?」
「いつまで、この状態なんですか?」
この状態というのは、寝巻き姿のツナをベッドに座っている了平が、後ろから抱っこしてそのまま抱きしめている状態なのだ。
何故こんなことになったかというと、了平の言う通りに風呂に入って寝巻きに着替えたまでは良かった。
だが、一旦部屋に戻ってその後に了平の部屋に行こうとしたところに、不運にも獄寺と山本に出くわしてしまったのだ。
二人は先程のツナと了平の話を盗み聞きし、ツナを足止めして行かせないようにしたのだ。
何故そんなことをするのかというと、二人はツナが(恋愛感情として)好きだからだ。お互いライバルとしてツナにアプローチしてきたが、別のライバルに先を越されてなるものかということで、たまに協力してこうやって邪魔をするのだ。
しかし、残念なことにそれはたったの一分でしかもたなかった。偶然なのか予知していたのか、寝巻き姿をした了平が現れたのだ。
そしてそのままツナを引き寄せて担ぎ上げ、獄寺と山本を無視して自分の部屋に向かった。後ろでは獄寺がギャーギャーと喚き、山本が黒い笑みを浮かべていた。
そして冒頭に至るということだ。
「沢田はこうされるのが嫌いか?」
「いやっ、あの、そーじゃなくて…」
頬を赤くしながら、なんとか話そうとツナは今の自分の気持ちを話し出した。
「………オレ、こんなことされると、この時代のオレに悪いなって思ってるんです」
了平は少し驚き、平静を保って話の続きを聞いた。
「この時代のオレ、きっとミルフィオーレの事が無かったら、お兄さんや獄寺君や山本や、皆と一緒に楽しく過ごせたと思います。
でも、死んじゃった挙げ句に、お兄さん逹に悲しい思いさせちゃったなって……思うんです……」
ツナの言葉がだんだん涙交じりになり、了平は、ツナが何を言いたいのかを理解した。
「だから…「もういい」
えっ?」
「沢田、未来だろうが過去だろうが、自分は自分だ。例え自分の知っている奴が過去の人間だとしても、好きな相手に変わりはない」
「っ!!?」
了平の言葉に、ツナは驚き、顔を後ろに振り向かすと、目の前に写ったのは、了平の優しい笑顔だった。
ツナは、体も振り向かせると、泣きそうな顔で了平に抱き付いた。
了平はそれを受け入れ、同じようにツナを抱き締めた。
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