小説 復活

□笛の音
2ページ/3ページ



「………いつから聞いていたんだ?」


笛を吹いてる途中で、音が外れてしまい、もう一度やろうとしたところに、雨月の声が聞こえて、慌てて笛を隠そうとしたが、見つかってしまった。

今現在、ジョットはソファーから、雨月の膝の上に座っており、少し拗ねている状態。


「仕事が終わったので、報告をしに行く途中でござるかな」


よく聞こえてたでござるよと言って、ジョットは右手で顔を覆った。若干顔が赤くなっていた。


「それよりも、久しぶりに聞いたでござるなぁ。
プリーモが笛を奏でるのは、日本にいた頃以来でござろうか」

「………お前と初めて会った日から、二日後に始めたのだったな…」


ジョットは、雨月と初めて出会った日の頃を思い出していた。

景色を見ながら歩いていた時、何処からか笛の音が聞こえて、その音色に導かれながら雨月と出会った。


「あの音色に誘われなかったら、オレはお前と出会えなかった。
そして、こうして一緒にいることもなかった…………笛の音で出会ったというのは、おかしいだろうか?」

「そんなことないでござるよ。
拙者とて、笛を奏でていなかったら、ジョットに出会えなかったでござるよ」


ジョットを優しく抱き締め、頭を撫でながら微笑む雨月。

顔を覆っていた右手の指の間からそれを見て、ジョットは右手を動かし、自分の胸のところにある左手の中の笛を掴んで、雨月に差し出した。


「雨月、今度はお前が、笛を奏でてくれないか?」

「え…」

「オレは…、お前が任務で居ない時に、笛を奏でた……。
お前が居ない寂しさを紛らわす為に、笛を奏でながら、お前の無事を祈り願った。
だから今、雨月の笛の音が聞きたい…//」



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ