小説 復活
□笛の音
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「………いつから聞いていたんだ?」
笛を吹いてる途中で、音が外れてしまい、もう一度やろうとしたところに、雨月の声が聞こえて、慌てて笛を隠そうとしたが、見つかってしまった。
今現在、ジョットはソファーから、雨月の膝の上に座っており、少し拗ねている状態。
「仕事が終わったので、報告をしに行く途中でござるかな」
よく聞こえてたでござるよと言って、ジョットは右手で顔を覆った。若干顔が赤くなっていた。
「それよりも、久しぶりに聞いたでござるなぁ。
プリーモが笛を奏でるのは、日本にいた頃以来でござろうか」
「………お前と初めて会った日から、二日後に始めたのだったな…」
ジョットは、雨月と初めて出会った日の頃を思い出していた。
景色を見ながら歩いていた時、何処からか笛の音が聞こえて、その音色に導かれながら雨月と出会った。
「あの音色に誘われなかったら、オレはお前と出会えなかった。
そして、こうして一緒にいることもなかった…………笛の音で出会ったというのは、おかしいだろうか?」
「そんなことないでござるよ。
拙者とて、笛を奏でていなかったら、ジョットに出会えなかったでござるよ」
ジョットを優しく抱き締め、頭を撫でながら微笑む雨月。
顔を覆っていた右手の指の間からそれを見て、ジョットは右手を動かし、自分の胸のところにある左手の中の笛を掴んで、雨月に差し出した。
「雨月、今度はお前が、笛を奏でてくれないか?」
「え…」
「オレは…、お前が任務で居ない時に、笛を奏でた……。
お前が居ない寂しさを紛らわす為に、笛を奏でながら、お前の無事を祈り願った。
だから今、雨月の笛の音が聞きたい…//」
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