LONG DREAM-Shine-

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ある日、甲板に行くとカノンノとロアが話していた。


カノンノ「お疲れ様、ロア。
ここの生活には慣れた?」

ロア「うん、大丈夫だよ。」

カノンノ「そう、よかった。
みんないい人達だもんね。

私は…、最近やっと慣れたのかな?
最初は船酔いが大変だった。」


甲板への入り口で壁に背を預け、
出るタイミングを待つ。

断じて盗み聞きしてるわけじゃないから!


ロア「今は平気?」

カノンノ「うん。
今はね、嵐の日でもへっちゃら。
どんな波が来ても大丈夫。」


笑ってそういうカノンノの顔が少し曇った。


カノンノ「私ね、海に出たかったんだ。
どうしても…

小さい頃からずっとそればかり考えて生きてきたから。」

ロア「………?」


カノンノの言葉にロアが首を傾げる。


カノンノ「自分でもわかんないんだけど、海からね、誰かが私を呼んでいるんだ。」


自嘲気味のカノンノをロアは笑わなかった。


カノンノ「…あ。」

ロア「…どうかした?」

カノンノ「ううん、ごめん。
ちょっと驚いちゃった。

だって、この話をして笑わなかったの、あなたが初めてだもん。」

ロア「笑わないよ。」

カノンノ「ありがとう。
でも、信じるしかないんだ。

みんな、そんな事あるもんかって言うけれど。
信じるしかないんだ、私には…。

ひょっとしたら、声の主がお父さんとお母さんで、海のどこかで私を呼んでいるかもしれないし…。」



これ以上聞くのは野暮だと、私はその場を去った。


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