LONG DREAM-Shine-

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カノンノが甲板で海を見ていた。


「カノンノ。
また、海から声が聞こえる?」

カノンノ「うん。
"言葉"で…、じゃあないんだけど。
呼んでるみたいに感じるよ」


カノンノが後ろにいた私を見る。


カノンノ「むかーしはね、夢の中だけ聞こえていたの。
眠っている時だけ。
そのうち、起きている時でも聞こえるようになって。
海の、方から…
でも、誰が。
何が私を呼んでいるんだろうなぁ…」


このカノンノからかすかに伝わるマナ。

私はそのマナがこの世界とは少し違うものが混ざってることを知ってる。


カノンノ「両親…、だったらなぁって思ったりもするんだけどね。
この海のどこかにいたりして…

また変な話しちゃったね。
ごめん。」


寂しそうに笑ったカノンノの前に立つ。


「カノンノ。」


ふわりと抱き締めてあげる。


「え、神無?」


カノンノが私の名前を呼んだ時に、私の中で波紋が生まれた。

懐かしい。
そんな感じ。
カノンノって名前から、そんな感じだったけどね。


「海からの声の正体、きっといつか分かるよ。」

カノンノ「うん。
早く知りたいけど、ちょっと恐い、なぁ。」

「大丈夫、私たちがいるから。」

カノンノ「うん。」



小さなこの子を守ってあげなきゃって、思った。



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