Book・Clap
□ゾロにゃん
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一人暮らしをやめたわたしは目下、同棲中。
「ただいまー。ゾロー?」
呼びかけながら、愛しい同棲相手を探す。
いた。ベッドの上。
「もう、また寝てる。ゾロは一体いつ起きてるの?ご飯の時だけ?」
少し硬い毛並みを撫でると、うっすら眼を開け、わたしを一瞥して返事を寄越した。
「にゃー。」
「ん?失礼なこと言うなって?」
「にゃーー。」
「はいはい、ごめんね。ゾロにゃん。」
そう。同棲相手は珍しい緑色の猫。
いつも寝てる緑色の猫。
ご飯の時はもそもそと眠そうに起きてきて、その割には張り切って完食する。
たまに起きていると、果敢に家具へよじ登って無茶をする。
今日はそんなゾロにお土産を買ってきた。
「ゾロ、こんなのどう?」
袋からねこじゃらしのおもちゃを取り出り、目の前で振ると
「に゙ゃーー!!!」
前脚でぱしぱしと戯れはじめ……、いや、どう見ても一生懸命に攻撃をはじめた。
怒っているようにも見えたのでねこじゃらしをしまうと、ゾロは満足気にわたしの膝にもたれてまた寝た。
猫ってよく分からない。
ゾロってよく分からない。
それでもゾロがいると何とも言えない幸せな気分になるから、やっぱりゾロが大好きだ。
ゾロにゃん、と呼ぶと返事の代わりか偶然か、前脚が少しだけ動いた。
fin