Book・Clap

□サンにゃん
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「んー?なぁに?そんなに気になるの?サンにゃん。」


休日の昼下がり、わたしは焼き上がったマフィンをお皿に並べながら問う。


作っている最中から我が家のねこ、サンジは、わたしの足に纏わり付いて離れない。


「サンにゃんは本当にキッチンが好きね。」
「にゃー。」


何時もそう。
お料理をする時も、お菓子を作る時も、お茶を煎れる時も、洗い物をしている時もずっとキッチンにいる。

決して悪戯はしない。
わたしにひたすら絡まるか、じっとわたしの手元を見つめている。


「お腹が空いている訳じゃ……、ないのよね。」
「にゃーん。」


サンジの食欲はねこ並かむしろそれ以下。ただキッチンが好きなねこらしい。

今も、棚から取り出した紅茶葉の缶を熱心に眺めている。


「サンジは、人間なら一流コックさんね。パティシエにもなれそう。」


蒼い瞳のキッチンねこはわたしを見上げて、にゃーと鳴いた。


fin

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