Book・Clap
□それだけだ。
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必要なものが必要なだけ存在していればいい。
剣の道を生きるおれに必要なのは自分の肉体と精神、そして刀だけだ。
鍛練を終えて、汗を拭いながら空を見上げる。
頭上に広がる色は毎日違っていた。
ただ、それだけだ。
そうして生きてきた。
必要なものを必要なだけ持って、目指すところに向かってひたすらに進んできた。
そして、これからもそれは変わらない。
「――好きだ」
昨日と今日とで違うのは、傍らにお前がいることだけだ。
おれにはお前の存在が必要だから。
ただ、それだけだ。