Book・Clap
□備えあれば
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「明日、待ち合わせどうする?ゾロは車?」
「おう。家まで迎えに行く」
「ありがとう。じゃあ明日の夕方楽しみにしてるね」
「あぁ。…じゃあな」
そんな会話を交わして別々の帰路につく。
わたしの足取りは軽いに違いない。
頬だって緩んでいるに違いない。
だって――
―――――――――
「あー、お腹いっぱい!どの料理も美味しくて幸せ」
「食いすぎだろ」
「飲みすぎでしょ」
「違いねぇ」
こうやって二人で出かけたりするまで、ゾロが柔らかく笑ったり優しい声を出すなんて知らなかった。
そして、その笑顔や声に触れる度、ゾロにどんどん惹かれていって。
好きになっていた。
だから、
「なぁ、」
「ん?」
「好きだ」
告白される準備は随分前からできていた。
「わたしも。…ゾロが好き」
ようやく言えた。
蕩けそうに切なくて、ちくり刺す痛みさえ甘いわたしの、心からの言葉を。
fin