Novel
□雨音の旋律
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「ん・・・・・・」
ツナが起きてまず気づいたことは、そこが自分の家ではないということだった。
(鉄の錆びた匂い・・・・・・。灰色の鉄格子・・・・・・)
そして、眼をパッチリと開けると、そこが、
「ろ・・・・・・牢屋!?」
だということが分かった。
「え? 何で俺、牢屋なんかに入れられてんの!?」
我に返って、辺りをキョロキョロと見回した。
そこは、テレビでも観たことのあるあの牢屋だった。
壁の上の方には小さな窓がついていて、鉄の柵の間から、
かすかに月の光が漏れていることから今が夜だということが分かった。
「眠らされていたのか?」
そう呟いたところで、右側の壁からトントンという音が聞こえた。
「???」
不思議に思って叩き返してみると、小さな声で、
「・・・・・・誰だ?」
と返ってきた。