Novel
□雨音の旋律
6ページ/7ページ
「山本! 山本なんだね!」
ツナも、声で向こう側にいるのが山本だと分かった。
「獄寺君、俺の向こう側にいたの、山本だった!」
嬉しくなって向こう側にいる獄寺にそう話
しかけたが、返答はない。どうやら、自分
の向こう側の人と話しているようだ。
「ツナ、ツナ」
向こうにいる山本から、声をかけられてツナは山本側に移った。
「俺達、どーなってんだ? 一体、何があって・・・・・・」
山本も困惑しているようだ。
「俺も、よくわかんないだ。獄寺君に聞こ
うと思ったけど、誰かと話中みたい」
山本はふぅん、と言ったっきり黙ってしまった。
そして、残念そうにこう言った。
「今日、野球の試合だったんだけどな」
その声からして、山本がどれだけ今日の試
合を楽しみにしていたかが分かった。
ツナはどうしていいかわからなくなり、話
の方向を変えた。
「ところで、山本の隣は俺と、誰?」