*子猫シリーズ*
□子猫シリーズ:猫か人か・・・どっちだ!?
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今回の議題は、何故か子供が苦手なテイトのことだ。
午前中、フラウがそろそろ子供達と一緒に遊ばせようと、孤児達のいる中にテイトを連れて行ったのだが、テイトは子供達に囲まれたとたん脱兎の如く逃げだし、近づいてくる子供達を警戒し続けた。
「まるで猫みたいだったぜ。あからさまに毛を立ててはなかったが、近づいてきたら引っ掻く!って感じでガキ共も怖がってな・・・」
「私たち・・・とくに最初の頃シスター達にもみくちゃにされた時はそんな様子は無かったですし・・・やはりここは猫の特性が表れた、と考えるのが妥当ですか」
「でもテイト君は人の形もしているよ?僕が見つけたフュールングの記述には『親の形状に合わせて生まれ、その環境に合わせた性格を持って生まれる』と書いてあったよ」
「でもこいつネコミミと尻尾付いてるからやっぱり猫じゃ・・・」
三人は意見・情報を交換しあうが、なかなか解決策が見つからない。
気が付けば『テイトの子供嫌い』から『テイトは人か猫か』という議題に変わっていたが、三人は真剣に悩みすぎて気づきもしない。
ただし、フラウはテイトがクッキーを欲したらすぐに気付いて手渡しているが。
唯一の真相を知る当の本人は、未だ一言も言葉を発しないのでどうしようもない。
「・・・・よし!こうしよう!!」
「「?」」
フラウがやけっぱちに叫び、カストルとラブラドールは不審そうにフラウへ視線をやる。
テイトも一瞬猫耳をピンと立たせ頭を上げたが、すぐに視線を前に戻した。
フラウが口を開こうとしたのだが、テイトがジュースを取ろうと身を乗り出したので、身体を支えてコップを落とさないように手を添えてやる。テイトはコクコクとジュースを飲むと、フラウから最後のクッキーを貰った。
フラウはこほんっ、とその場の視線を集め意気揚々に宣言した。
「テイトが初めて発するのが人の言葉なら人間。猫の鳴き声なら猫だ!!」
どうだ良い案だろ!
自信満々に言い切るフラウに、カストルとラブラドールの二人は深々とため息を付き、冷めてしまったハーブティーを飲み干した。
「な、なんだよ・・・」
「いえ、あなたらしくてよろしいと思いますよ?」
「無い頭でよく考えたねー」
にこやかに笑いながら言っているが、内容はフラウを貶す言葉。
「おい!テイトが悪い言葉覚えちまうだろうが!!」
「貴方の方がもっと言葉遣い悪いですよ」
うぐっ、とフラウは言い返せずに口を紡ぐ。
確かにフラウのような粗暴な言葉遣いを使い始めるようになるなんて、この可愛らしい導き天使には似合わない。なおかつ・・・テイトを可愛がっている大勢の人達から非難が殺到しそうだ。