*子猫シリーズ*

□子猫シリーズ:猫か人か・・・どっちだ!?
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 三人はテイトを見る。お腹がいっぱいになって満足したからか、テイトはフラウの司教服をぎゅっと握りしめてうつらうつらと舟を漕いでいる。
 フラウはテイトを抱きかかえ、眠りやすい体勢にしてやると、テイトはもぞもぞと動いて納得する位置を見つけるとすぐにすぅすぅと大人しい寝息を立て始めた。

「で、テイトは話せなし、感情を出さない。つまりどういう事が言いたいんだ?」
「あくまで予想なんだけど・・・フラウに拾われる前に何か精神的に大きなショックを受けるような事があった。と僕は思うんだ。だから、そのショックで言葉を話せないし、感情が出にくくなった」
「・・・フラウがテイト君を拾った場所は人の住まない山の中です。それにあそこは盗賊団の根城があるという報告もあります。もしかしたらテイト君は誘拐されたのかもしれませんね。その課程で精神的にダメージを受けた、と考えることもできます」

 暖かい日溜まりの中でスヤスヤと安らかに眠る幼子。
 カストルとラブラドールは言いようのない思いを瞳に宿してテイトを見るが、フラウはそっと腕の中の幼子を抱きしめて静かに言った。

「・・・だとしたら感情を取り戻してやるだけだ。言葉も俺が教える」

 蒼い瞳に強い意志を宿し、腕の中の幼子を守るように抱く姿は、初めて教会に来た時のフラウとはまったくかけ離れていて、どこか彼の師であるバスティン司教を思わせた。


まだ15の少年の手に守られて、幼い導きの天使は健やかに育つ。
 天使のもつ本来の本質を取り戻せるように。


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 ちなみに、初めてテイトが話した日にまた彼らは悩むことになるのだが、それはこれから一ヶ月後のことになる。
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