銀魂

□青い空
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青い・・・青い空。
どこまでも続く青い空。
一体この空はどこまで繋がっているのだろう。
青い空・・・。



「だーんなっ」
突然覆いかぶさった影とかけられた声に現実に引き戻される。
「何してんですかィ?」
「沖田君・・・」
倒していた上半身を起こすと、沖田は隣に座り込んだ。
「何って分かんないの?見た通りだよ」
「そうですかィ」
「そっちこそこんな所で何してんの?」
「いやぁ」
沖田はやや口ごもりつつ、下に見える河原を見つめた。
「いつもどおりサボ・・・巡回してたらアンタを見つけやしてねィ」
「オイ、この子サボってたらって言おうとしたよ、今」
不安の色を顔に出す銀時をよそに、沖田は続ける。
「さて、旦那」
「な・・・何だよっ」
突然銀時を見てニヤリと笑う沖田に戸惑う。
「さっき俺が何してたか聞いたとき、旦那は見た通りって言いやしたよねィ?」
「それがどうしたんだよ」
「いえねぇ、俺の勘違いだったらアレなんですが、さっきまでの旦那は恋の悩みを抱えた乙女みたいな顔してやしたぜィ?」
「はぁ?!」
何を言い出すかと思えば、まったく見当違うことを言う。
「勘違い勘違い!どこをどう見たらそう見えるんだよ?!」
「そうですかィ、・・・・まぁ・・・いいんですけどねィ」
「・・・・・」
二人の間に無言の空気が流れる。
さすがに気まずくなって、先に銀時が口を開く。
「この空って・・・一体どこまで繋がってるんだろうな」
「はぁ?
いきなり何を言い出す、という顔をして沖田は銀時を見た。
対して銀時は青い空を見上げ、再び草の上へ寝転んだ。
「終わりはあんのか?だとしたらどこまで繋がってるんだ?」
沖田は銀時を見つめ、一瞬考える素振りをして見せてから、視線を銀時と同じ方へ向けた。
「さぁ・・・『どこまでも』じゃないですかィ?」
ポツリと答えた沖田に、目をそっと閉じてから小さく
「そーか」
と返す。
そよぐ風と当たる日差しが心地よく、このまま一眠りでもしようか、という気分になったが、判断を下した直後、目蓋の裏で感じていた日の眩しさが途端に消え、不思議に思った銀時が目を開けると、視界は沖田で一杯だった。
同時に唇に感じる生温かさ。
それがキスだと気づいたときにはすでに沖田のそれが唇をこじ開け、舌を捕られていた。
「・・・っん!!」
口の端から唾液がこぼれる。
「ぁっ・・・ゃめっ」
銀時は沖田の頭を半ば殴るように引き離した。
「何っしやがるっ!!」
口をぬぐう銀時を見て沖田はニヤリと笑うと立ち上がった。
「そんなこと聞くなんてアンタらしくないんでさァ、だから・・ねィ?・・・・・・さて」
ズボンをはたき、ついていた砂や草をはらってから沖田は背を向け、肩越しに振り返り手を上げた。そして歩き始める。
「じゃ、俺はこの辺で。栄養補給もしたし、仕事に戻りまさァ」
「・・・っ!!」
改めて顔を赤くしつつにらむと、それに気付いたかそうでないか、「あぁそうそう」と立ち止まった。
「さっきの空の話ですが、空は『繋がっていたい』と思う人のところまで繋がっているんだと、俺は思いますぜィ」
それだけ言うと、先ほどよりも早く歩みを進め、去って言った。
「・・・何だよソレ」
ポツリと呟き、銀時はまだ生温かい感触の残る唇を手の甲でなぞった。


fin  …だったり
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