万高真ん中バースデー2010

□ラブリーフレンズ
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「おはよう晋助」
「おお、おはよう」

学校に先に来ているのは大抵高杉で、万斉は教室に入ってまず高杉を探す。

「おはよう万斉」
「退殿もおはよう」

カバンを机に置いて万斉が今日は何かを取り出している。

「晋助、今日が何の日か覚えておるか?」
「おめぇ毎年言ってんじゃねぇか。忘れようったって忘れらんねぇよ」
「?」

苦笑いをする高杉に山崎は首を傾げる。それを見とめた万斉がいたずらっぽく笑って、

「記念日でござるよ」

と教えてくれるが、やはり分からない。

「…誕生日とかじゃなくて?」

山崎は首を反対側にかくんとまた傾げながら尋ねる。

「今年で五年目でござるな」
「何でこんなやつとダチになったんだか…」

ため息を吐きながら高杉がスカートのポケットをあさる。

「ちょ、酷いでござる」
「でも、言いたい事を言える友達って良いよね」

ニコ、と山崎は高杉の話を聞いていたのかいないのか…

「……ほれ」

そんな山崎に苦笑いしながら高杉は、ポケットから出した物を万斉に渡す。

「拙者もあるでござるよ」

万斉もさっきカバンから出した小さな包みを高杉に渡して、二人それぞれに中を見る。

「………っ!!」
「…?!」

そして万斉が息を詰め、高杉は唖然としていた。

「……?」

山崎は二人の反応がよく分からず、三度首を傾げる。

「…し…しん」
「…ばんさ…これ、」

万斉は喜色満面で、
高杉はやや青ざめて、
二人声が振るえている。

「やはり拙者たちは異心伝心でござるっ!!」
「てンめぇ…なんだこれっ!!」

感極まった万斉は高杉に抱きついて、高杉はそんな事よりもプレゼントの中身の方が大きいらしい。

「可愛いでござろう?辰馬が特注で作ってくれたんでござるよ」
「可愛い可愛くねぇの問題じゃねぇよっ」

高杉が万斉の背中を叩くが、何故か感激している万斉はそんなことは気にしない。

「高杉さん…あの、何をそんなに…?!」

恐る恐ると山崎が声をかければ、ズイッと出された万斉からのプレゼントらしき物。

「…うわぁ、可愛い」
「プラチナリングで、ピンクダイヤモンドをハートにカットしてもらったんでござるよ」
「………え?」

さらっと言った万斉に山崎も呆気にとられた。

「ピンキーリングにチェーン。ぴったりではござらぬか。これで肌身離さず持っていられるでござるよ晋助」
「ふっざけんなぁ!!こんなもん一介の高校生が持ってていいもんじゃねぇだろ!!」
「えぇ〜、そんなに高くないでござるよ。二つ特注で〇万は安いでござる」
「庶民には高ぇんだ!!!」

具体的な金額こそ判らなかったが、高杉だっておもちゃと本物の輝きの違いは判る。
それが坂本絡みの特注ともなれば…
万斉のサラリと告げた金額に軽く頭痛がした。

「悪ぃが、今回ばっかは貰えねぇ」
「…でも、せっかく辰馬が拙者と晋助の為に」
「うっ…」
「高杉さん…」

やっと離れてもしゅんとされて高杉は言葉に詰まる。追い討ちの様に山崎が呼ぶ。



「…わかった。わかったよ。受け取りゃいいんだろ!!」

どうにも万斉、山崎の両名には弱い。半ばやけくそのように高杉はそれを受け取る決心を固めた。

「―っ晋助!!」
「うわっ」
「良かったね、万斉」

途端に万斉はまた抱きついてくるし、山崎も我が事の様に喜んだ。

「なんだかなぁ…」

諦めたような苦笑いが浮かんで、でも、悪くないな…なんて思ったりもしている高杉がいた。




シャラン…とチェーンに通されたピンキーリング。




6月30日
二人が初めて会話をした日。




「お前、そのバンド好きなの?」
「インディーズ時代からのファンでござる」
「ござる?!」
「……変か?」
「うん」
「はっきり言うでござるなぁ」



そして続く腐れ縁。

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