万高真ん中バースデー2010
□では今回は、
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C入室禁止
その逆ならばおうおうにあるのだが…
「晋助。しばらく拙者の部屋は立ち入り禁止でござる」
万斉からその言葉が出るなんて夢にも思わなかった。
「晋助様、お茶ッス」
「おう。そこ置いとけ」
「万斉先輩まだ出て来ないんスか?」
「ああ」
「何やってんスかね?」
立ち入り禁止と言われてから早2日。
万斉が部屋に籠ってから早2日。
食事も摂っているし、風呂にも入っているから中で死にそうになっているわけではないらしいが…
というか、表の仕事の缶詰ならば江戸のマンションや、ホテルでやる。
今回は一体何だと言うのだ?
理由が分からず誰もが首を傾げるしかなかった。
「晋助」
「あん?」
「今から拙者の部屋に来ぬか?」
「立ち入り禁止っつったのはテメェだろ」
「あ、それはもう良いでござる。解禁でござるよ」
ニコニコと言われて、いつもならばイラッと来るのに、今日は何故か悪寒がした。
「………?」
自分の勘は信じたいが、万斉が自分を害する様な事をする筈がない…
高杉は気のせいだろうと自分に言い聞かせ、万斉の後に続いた。
◇◆◇◆◇
「……………」
やはり自分の勘は正しかったのだ。
呆然と高杉は部屋の入り口で立ち尽くしていた。
中へ踏み込む勇気が出ない。
「部屋の模様替えをしてみたんでござる」
「……………」
部屋の半分を仕切る様に大きな衝立があって、その向こう側。高杉の知識が間違っていなければ、アレは天涯付きのWベッドではないだろうか?
いや、衝立があるから全ては見えていない。きっと似た何か別の物だ。
そうであってくれ…
恐々と足を進めた高杉は直ぐに後悔した。
「どうでござるか?晋助用にちと派手めにヒョウ柄を選んでみたんでござるよ」
「……………」
喜々とする万斉。
高杉は言葉が出ない。何とコメントして良いのか分からない…
「晋助?」
「………」
クルリと背を向けた高杉は迷わず部屋の外へ出た。
この部屋に対するコメントが見付からなくても、やる事なら分かる。
「晋助?」
「この部屋が元に戻るまで、俺はこの部屋に立ち入る事を自分に禁じる」
「逆立ち入り禁止?!」
更に万斉は何か言っていた様な気もするが、高杉は耳も貸さなかった。
「早く元に戻せバカヤロー」
気に入っていたのは万斉らしい元の部屋なんだ。